A−3 ルート省略型と転回の実用
前のページの練習曲では、小節内でひとつのコードフォームを変形、あるいは出来るだけ近いポジションでつないで、トップのメロディーを動かした。それは練習(理解)のための制約なので、その制約をもう少しゆるくしてみる。
同じコード(コードネーム)をフォームと、ポジションを移動、転回して、より広いメロディー、また、コード感を出す。
ここからは、コード:メロディーが、1:1から、1:2になる。
同一のコードが、転回(コードの音の高低の並び替え)によって、響きとリズムを強調すること、また、コードの厚み伴ってメロディーを動かす可能性、方法を提示してみた。パワータブはこちら
解説
前のページの練習曲の前半は、ルート省略のフォームを使って、主に1弦の音をトップとして動かすことに特化していた。そうすると、ソロ演奏としては少々低音とコードの主張に乏しく、さみしい、硬質な内容になってしまう。
逆に言うと、アンサンブルでは有効なヴォイシングになる。ベースに低音を任せたり、ピアノと音がぶつかって音をにごらせないためにも、ルートの省略形は活躍する。特にピアノとやるときは、さらに音を省略することが多い。基本的なボイシングと、構造、構成音がわかっていれば、そんなに難しいことではない。
また、ソロ演奏は、ベース・コード・メロディーの弾き分け、使い分けとその組み合わせや緩急が醍醐味になるので、そもそも、ベースが何をするものなのか、ピアノのコンピング(リズム・コード)は何をしているのか、逆にソロをやっているとわかってくると言う利点がある。
さらに、ソロ演奏に慣れてきたら、弾き分け、使い分けの素材を合奏、セッションから取り入れていく。
今回は、最初から要所で基本形でルートを入れてバランスをとっている。これくらいのフォームから、わずかながら、徐々に、ソロ・ブルースらしくなって来る。
1.動機
1コーラス目の動機は、下降型から。一拍目から緊張させて、二小節目の山形(やまなり:上がって、下がる)で落ち着かせる。二小節単位。9.10小節のII-Vで、下降型をコードトーンで分散和音の形でとっている。ブルースの12小節の進行では、この大きめのII-V(1小節づつのII-V)は、「受け身」な要素が強い。フレーズを細かく動かしても、それは同じ。
2コーラス目の動機は、一小節目の2拍目の山形を、次の小節では、逆の山形で受ける。5〜8小節目は、それを拡大している(動機の扱いは詳しく後述しますが、動機操作には、拡大、縮小、逆行・・・等々、その扱いの形が分類、類型化されています)。全体的に同じ動機を使いまわしているけれど、9、10小節のコード→単音、コード→単音の形で、G7を食っている(前の小節のケツで鳴らして、小節線をまたいでタイで結んでいる)。これだけでも、実は随分印象が違う。これから、こういうリズムは多用します。
2.コード・メロディーのフォーム
トップの音をメロディーとして、コード:メロが1:2が多い。
拍の頭にコードが入るので、リズム的にも容易。トップの音に付随して、コードが移動する使い方。「転回(同一のコードのフォーム、ポジションの移動)の間にもう1音のメロディーが入る」という形。
これはに、法則性がある。それが結果的に、指使いの法則性にもなる。この練習曲の場合、8分音符のメロディーで、上昇の場合でも、下降の場合でも。
コード・メロ 1:2の法則性
1.テンション、付加音から、R、3、5、7のコードトーンへ吸収される形。(基本的なコードフォームへ、落ち着く形)*これをテンション・リゾルブ(テンションの解決と呼ぶ)
つまり、ここでのメロディーは、全音(2フレット分)半音(1フレット分)しか動かない。(なぜなら、テンションは、常にいずれかのコードトーンと2度(全音か、半音)の間隔だから。
2.R、3、5、7のコードトーンから、テンション、付加音へ動く場合も、2度。そして、必ず、次のコードではコードトーンに吸収される。(コードが変わってから1.を経ての場合もある。そうでない場合にも法則性がある。それがいわゆる「アウト」のコントロール:後述。)
3.1,2が当てはまらないメロディーの動きは、テンションを含んだコードトーンの分散和音。
これらは、コード・メロディーがかなり複雑化(1:3、1:4や、弱拍にコードが入る場合でも、転回とトップの動きが入り組んでも)しても共通する原則なので、ぜひ理解しておいて下さい。
つまり、ここで言う「コード」は、スケールを3度、つまり1音づつ飛ばして重ねている。
つまり、
ド(レ)ミ(ファ)ソ(ラ)シ(ド)
ドミソシ=CM7
スケールで、それをつなぐのは2度、つまり、隣の音という、ある意味当たり前の事を言っているんだけれど、これが実は、コードとスケールの関係の大原則になる。
「コードを表現するメロディー」を弾くのなら、コードを分散すれば事足りるわけだけれど、いわゆるメロディーは、スケールを使う。
つまり、凄く単純化すると、ひとつのコードが鳴っているとき、3度づつの「コードトーン」を、2度でいかにつなぎ、また、2度の「音階・スケール」を3度以上の音程で、いかに跳ばすか。が、「コードの上、中」での、「スケールの使い方」と言える。
これは、単純だけれど、とても大事な原則です。
そして、コードが二度でつながれ、また、スケールが3度で重ねられたコードの音を選んで跳躍するように、コードとコードにも、「つながり」という関係がある。
コードとコードの変わり目で、スケールをどう使うか。
これが、今度は、「コード進行での、分散和音とスケールの使い方」になる。
で、後述するけれど、それにも法則性があり、2度と、ルートの進行が、鍵を握る。
ただ、便利なもので、コード・メロディーは、常にコード・トーンを鳴らせるフォームが連結するので、コードとコードの「つながり」を既に内包している。
コードとメロディーを同時に扱うことで、それを体で感じること、ものにすることが出来る。
いわゆるアヴォイド・ノート(コードのテンション、付加音として、長い音価で使用することを避ける(Avoid)べき音に関しては後述。
*あんまり書くと混乱するかもしれませんが。
コードとスケールの関係は上記の通りなんだけれど、「コードとモード」については、いくつかの条件の違いが出てくる。
(モード=旋法。旋法=旋律の法則、方法。つまり、ブルースなどの民謡系は、モード。決まったフレーズ、形式を持っている。それが非常に個性が強いもの。また、クラシックの12半音、ドレミファソラシドの8音から出来上がる、コードとその使い方では割り切れない音楽の形式。それを旋法と定義します。)もちろん、クラシック、西洋音楽も、民俗音楽なんですが。システムが論理的、数理的に定着している。
そして、ブルースが、まさしく旋法。
しかし、ブルースは、アフリカ大陸型の民謡からは大きく変化していて、西洋音楽の枠の中で発生、発展したもの。
つまり、その旋法(コードの使い方も含めて)は、コードとスケール(ドレミファソラシドの8音)で表現出来るものになっている。
しかし、5音(ペンタ=5つの、トニック=音:あるいは根音、ルート)の旋法と、コードの関係、というのは、上記の8音と、コードの関係とは、簡単に同一視出来ない。
全く異質といっても言いすぎじゃない。
けれど、それが同居しているのが、ブルース。ほとんど奇跡のような形式だと言える。ゆっくりと成立した、革命だと思う。で、そういうこともふまえて、
ペンタトニック、ブルース・スケールと、4音のコードの関係は、後述します。
次のページからは、
1.代理和音(7thのディミニッシュコード代理。7thの♭V:裏コード代理)と、それらを使った、
2.経過和音(ルートが二度の関係のコードとコードの間に、コードを入れてつなぐ)
3.装飾和音(装飾:かざる。コードの半音上、下から、同じフォームのコードを平行移動させる)
を扱って、もう一度、ブルースの進行をコードの面から、より深い響き、重い響きにして行きます。
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